寒波の来襲と共に空は高くなった。空は何処までも碧く澄んでいた。こんな空を見上げていると、彼方に天国があるような気分になってくる。が、神々は出雲へ旅立っている季節だ……。果たして、神々はどういう移動手段をとって旅をしているのだろうか? 一瞬の間に移動するのだろうかと、気になってしまった。眼を凝らしていると、銀色の飛行機がゆっくりと進んでいた。ゆっくりだが確実に早く飛んでいる。澄んだ空に飛行音が吸収されたのか、ジェット音も聞こえない。音もせず移動していく物体に、神が飛んでいるような錯覚を感じた。そういえば、地方空港の存続が姦しいが、出雲空港もある。神々が利用してもおかしくないではないか。愚にもないことを想像してしまった、寒々しい昼下がりであった。