『乳の湖(ちちのうみ)鶯の声渓泳ぐ』
朝から霧が立ちこめ、視界は50メートル。自動車の音も、霧に吸収されるのか聞こえない。まさに乳白色の海であった。霧の緞帳に目隠しされた森と山岳の景色は、無機質な印象で清浄な気分にさせられた。ホーホケキョ、ケキョケキョ、ケキョと鳴く鶯の声は「鶯の谷渡り」というが、私には朝霞の中を泳いでいるように聞こえてしまった。
霧は秋を指す季語で、春の場合は霞と言い分ける。また鶯は同じく春の季語になる。寒村は、まだ春の風情なのである。
←参加しています。応援クリックを、よろしく!