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木の葉雨

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『友の父九十三歳の木の葉雨』
病院にいると、友人が廊下を小走りに歩いていた。とっさに僕も理解した。呼び止め一緒に病室に入るとまだ息をしていた。後、数時間の命だという。四週間前から、覚悟をといわれていて、僕も毎日病室には顔を出していた。夕方までは持ちそうだという。僕は仕事に戻った。仕事を終え病室に向かうと、看護師長が悲しそうな顔で今逝きましたと告げた。病室に入ると、親しい医師が時間を継げてくれた。一人っ子の友人と奥さんは、お父さんの顔を撫でている。自分に言い聞かせるように「九十三歳と三ヶ月、大往生だったよ」。僕に言った。彼も、お父さんも医師である。二人とも納得のいく医療を、担当医師に伝え治療してもらっていた。それからは、看護したちの出番で、僕らは病室をで珈琲を飲んで、支度の終わるのを待った。葬儀社の車が向かいに来て、遺体は自宅へと向かった。外は、朝からの木の葉雨が上がっていた。

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by arajin01 | 2015-11-02 22:54


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